MSI X570マザーボードのBIOSをアップデートした

MSI X570マザーボードのBIOSをアップデートした

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GPU換装(RTX 3060 Ti → RX 9060 XT)を控えており、Resizable BAR対応のために約5年ぶりにBIOSをアップデートした。 というかこれまでにBIOSのアップデートはしたことが無かったので初挑戦。 MSI MPG X570 GAMING PLUSのBIOSをA.B0(2020年10月)からA.Q0(2025年9月)へ更新出来た。

#環境

  • マザーボード: MSI MPG X570 GAMING PLUS
  • CPU: AMD Ryzen 5 5600X
  • GPU: NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti(アップデート時点)
  • OS: Linux Mint 22.3 Zena

#アップデート前後の比較

項目アップデート前アップデート後
ベンダーAmerican Megatrends Inc.American Megatrends International, LLC.
バージョンA.B0A.Q0
リリース日2020年10月29日2025年9月3日
AGESA不明(古い)ComboAm4v2PI 1.2.0.F

BIOSバージョンの確認には sudo dmidecode -t bios コマンドを使用した。

#A.B0 → A.Q0 で期待できる主な改善点

約5年分のアップデートが一気に適用されるため、多くの改善内容が含まれる。以下はMSIとAMDの公開情報、および今回の実機状態から確認できた範囲の要点。

#パフォーマンス向上

改善内容確認できたこと影響度
Resizable BAR(AMD SAM)対応旧BIOSでは設定項目を確認できなかったが、更新後は有効化できた — 新しいGPUを使う前提を整えられた
Curve Optimizer関連の更新Ryzen 5000世代で利用できるAGESA系更新がこの期間に含まれる中 — 電力効率やチューニングの自由度に関わる

特にResizable BARは、今回のGPU換装先であるRX 9060 XTを使う前提条件のひとつだった。効果はゲームや設定次第だが、対応状態にしておく価値は十分ある。

#バグ修正

改善内容確認できたこと影響度
USB接続安定性の改善X570世代で知られていたUSB不安定に対するAGESA更新がこの期間に含まれる — 周辺機器の安定性に関わる
fTPMまわりの改善AM4向けBIOS更新の流れとして、stutter問題への対応が進んでいる中 — 一部環境でのカクつき回避に関わる
ファン設定の不具合修正MSI公開情報ベースで、A.Q0系ではファン設定保存まわりの修正が入っている — 今回の運用に直結する

#セキュリティ修正

脆弱性 / 更新補足
Inception 以降のAMD公開bulletin対応この更新期間に複数のセキュリティ修正が含まれる
Sinkclose / SMM Lock Bypass 系AM4向けBIOS更新の対象に含まれる
2024年以降の追加修正CVE対応を含む更新が継続して反映されている

5年間放置していた分、セキュリティ面でもかなりの改善がある。BIOSやカーネルのアップデートって環境破壊のリスクがチラつくから手を出したくない気持ちが大きいが思い切ってやって良かった。体感良くなった気がする。

#アップデート手順

#事前準備

  1. MSI公式サポートページからBIOSファイル(7C37vAQ)をダウンロード
  2. ダウンロードしたZIPを解凍(E7C37AMS.AQ07C37vAx.txt が含まれる)
  3. FAT32フォーマットのUSBメモリのルートに両ファイルをコピー

USBメモリのフォーマット確認は lsblk -f で行った。LinuxではFAT系のファイルシステムが vfat と表示されることがある。ISOの焼き込みではなく、普通のファイルコピーで問題ない。

なお、今回はベータ版ではなく通常版の 7C37vAQ を選んだ。

#M-FLASHによるBIOS更新

  1. PCを再起動し、DELキーでBIOS画面に入る
  2. ファンカーブ設定をスマホで写真撮影する(アップデート後に全設定がリセットされるため)
  3. 「M-FLASH」を選択(EZ Modeの左上付近、またはAdvanced Modeのトップメニュー右側)
  4. USBメモリ内の E7C37AMS.AQ0 を選択して実行
  5. 完了まで絶対に電源を切らない(数分かかる)
  6. 再起動後、BIOS画面に入ってファンカーブを再設定

手順5はこんな画面でしばらく眺めることになる。気長に待とう…

BIOS is Updating

ファンカーブの写真撮影は本当に大事だった。BIOSアップデートで全設定が初期化されるため、事前に記録を残しておかないと一から設定し直すことになる。

#ファンカーブの再設定

BIOSアップデートにより全設定が初期化されたため、ファンカーブを再設定した。

#設定方針

ファンなしの状態でもアイドル時58.9°Cだったものが、ケースファン6個の設置で35〜40°Cまで下がった実績がある。最大50%の控えめな回転でも十分なエアフローを確保できると判断し、静音性を優先した。 静音性に特化したファンでは無く、普通のファンだから80%とかにするとうるさすぎて作業に集中出来ない…

#設定値

温度帯ファン速度
0°C〜40°C20%
65°C30%
80°C50%

前回の設定との主な変更点は以下の通り。

  • level 3 Fan Speed: 50% → 30% に低減
  • level 4 Fan Speed: 100% → 50% に低減
  • level 4 Temperature: 75°C → 80°C に引き上げ

#アップデート後の動作確認

  • RTX 3060 Tiで正常に起動
  • Linux Mintが通常通りブート
  • ファンが正常に回転(PUMP Fan1, SYS Fan2, SYS Fan3)
  • ファンカーブ再設定完了
  • UEFIモード動作確認([ -d /sys/firmware/efi ] && echo "UEFI" → UEFI)

ちなみに、 RTX 3060 TiからRX 9060 XTへGPUを換装した 後も問題無く動作している。 その後、動画編集で使っているKdenlive側も NVENCからVAAPIへ切り替えた

#まとめ

5年間放置していたBIOSだが、アップデート自体はM-FLASHのおかげで10分程度で完了した。ファンカーブの再設定を含めても30分もかからなかった。

得られた改善は、Resizable BAR対応、USB接続安定性の向上、セキュリティ修正など。 特にResizable BARは、次に控えるRX 9060 XTへの換装で効果を発揮する。GPU換装前にBIOSを最新化しておいたことで、ドライバ周りのトラブルリスクも軽減できたと思う。

BIOSアップデートは地味な作業だが、ハードウェアの潜在能力を引き出すためには欠かせない。BIOSアップデートの影響なのか普段のネットサーフィンなど何気ない作業もキビキビ動く気がする。